つわぶきです。記念すべき1回目の記事……。ん~、いいですね。
張り切って、将棋で最初に覚えるべき戦法、「棒銀戦法」をご紹介します!
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「え、棒銀戦法って何? 藪からスティック? どんな戦法なの?」
という方、いらっしゃると思います。
そんな方のために、一から詳しく説明していきましょう。
棒銀とは?
棒銀とは、飛車と銀で相手の角頭を攻める戦法です。
飛車1枚では突破は難しいので、銀の助けを得て突破を目指します。
銀が棒のようにまっすぐ進んでいくので、この名前がつきました。
先手は「23」のマスを飛車と銀の2枚で
攻めようとしていますが、後手は金1枚でしか守れていません。
初期配置では「22」のマスに角がいるので、
「23」の地点を守るのが難しくなっているのですね。
(↓ ▲24歩△同歩▲同銀(図)の攻めを狙います。)
棒銀 3つの長所
棒銀の強みとして、以下のようなことがいえるでしょう。
(1)決まった時の破壊力
(2)手順の覚えやすさ
(3)居飛車・振り飛車相手にも使える
(3)についてさらに言うと、自分が居飛車・振り飛車の
どちらを指しても相手が棒銀を指す可能性があるので、対策が必要ということになります。
というわけで、棒銀は初心者が最初に覚えるべき戦法といえますし、
私も初心者の頃は棒銀から覚えました。
ところで、銀がスルスル登っていくので、英語では“Climbing Silver”と呼ばれています。
また、何となく予想された方もいると思うのですが、「棒銀」があれば「棒金」という戦法もあります。
しかし、これはちょっと特殊な戦法です。
「銀は攻め、金は守り」が将棋の基本方針なので、
初心者の方は「棒金」のことはひとまず忘れてもらって大丈夫です。
それでは、実際に棒銀の指し方を見ていきましょう。
棒銀戦法 【成功例】
(参考棋譜:https://kifu.co/adev)
▲26歩 △84歩 ▲25歩 △85歩 ▲78金 △32金
この金上がりは、飛車先を無条件で突破されないためにも重要な手です。
▲24歩 △同歩 ▲同飛 △23歩 ▲28飛
まずは飛車先の歩を交換し、満足します。攻め駒と守り駒の交換は、攻めている側の得になります。
△86歩 ▲同歩 △同飛 ▲87歩 △82飛 ▲38銀
ここから銀をまっすぐ動かします。
△62銀 ▲27銀 △52金 ▲26銀 △74歩 ▲25銀
さて、先ほど紹介した攻撃形を作ることができました。銀が無条件で5段目に出ることができれば、棒銀戦法は成功です。このあとも先手は攻撃の手を休めるようなことはしません。
△73銀 ▲24歩 △同歩 ▲同銀
さて、ここで「23」のマスを守ることができなくなっています(△23歩 ▲同銀成 △同金 ▲同飛成)。また、後手が放っておくと、23歩から歩で角を取られてしまいます。
△34歩
何とか角を逃がそうとしますが……。
▲23銀不成 △44角 ▲34銀成 △22角 ▲24歩
最後の▲24歩がいい手で、次の▲23歩成を阻止することができません。
このように、あえて控えて打つことで「と金」づくりを狙う歩のことを
「垂れ歩」といいます。
「2筋の歩を交換し、銀を真っすぐ進める。2筋が破れたら、『垂れ歩』の手筋でと金を作る」
これが棒銀の基本的な指し方です。
棒銀で有名な棋士といえば…あの先生!
(出典:日本将棋連盟)
ひふみんの愛称でおなじみの、加藤一二三先生。
「将棋世界」でコラムも持っていましたね。
今はアイドルのような扱いですが、将棋界では
「神武以来の天才(我が国始まって以来の天才)」と言われ、
多くの将棋ファンから尊敬されています。
※敬虔なクリスチャンでもある加藤先生の半生、
生き様を描いた自伝はこちら。考えさせられる内容です。
棋書の紹介
棒銀の破壊力を理解していただけたと思うので、
初心者の方は実戦でぜひ試してみましょう!
つわぶきイチオシは井上先生の本です。
「NHK将棋シリーズ」で放映があった内容を紙媒体にしたもの。
基本中の基本から学ぶことができる良書です。
飯塚先生の「最強棒銀戦法」。
分かりやすさだけでなく、「飛車先不突き棒銀」など
トリッキーな戦法も解説されています。
最後に紹介するのは青野先生の「最新棒銀戦法」。
もう最新とは言えませんが(笑)、初心者向けということで
非常に丁寧に解説されている印象です。