先日、将棋センターに行ってきて、30秒将棋を3局指してきました。
どれも面白い対局になりましたので、ご紹介したいと思います。
対 45歩早仕掛け の基本
アマ4段くらいの方がお相手です。
僕のノーマル四間に対して、45歩早仕掛けで来られました。(便宜上先後逆)
63銀47金86歩となったのが本譜の進行。僕は早仕掛けには香を上がることにしています。
63銀の形が62銀型より薄くなるため持久戦模様を考えており、このタイミングでの仕掛けは意外でした。
86同角66歩同銀86飛同歩78角68飛
89角成は69飛打!が有名な定跡で、馬が死んでしまいます。
このとき歩があれば67歩で切り返せるのですが……。(※)
87角成55歩76馬77銀
角の利きを遮断し、71飛を実現させて優勢になりました。
(※)86同角に95歩同歩66歩同銀95香とする筋もあるにはあります。
しかし95同香67歩同飛86飛同歩78角68飛89角成12香成44角45歩35角57銀で振り飛車優勢です。(図を省略してすみません。)
対 5筋位取り での捌き
相手は地元の地区代表にもなっている方。
半持久戦模様を見て、オープン四間飛車からノーマル四間飛車に合流。
76の歩を飛で取り、後手が74歩と謝ったところ。(便宜上先後逆)
飛が68→69→79→76に移動しました。軽い形で振り飛車ペースです。
ここでは56歩75銀77桂も考えましたが、後の展開が30秒では読み切れず、じっとする手を選びました。
66飛64歩73銀
後手から75銀~86飛を無条件で食らっては負けてしまいます。73銀から64歩を払いに行くのが正しい着想。
73銀に75銀は65飛同歩84銀不成です。
81飛64銀成63歩(?)65成銀58銀26角
64銀成ですでに振り飛車優勢ですが、手に困る居飛車は疑問手を連発してしまいます。
47銀成同金22玉77桂51飛(?)45桂打まで
以下、45同銀同桂44角は44同角同金62金。
中盤で手渡しして疑問手を誘う、自分らしい将棋が指せました。
「これが棋風」と胸を張って指せると、将棋の質が高まります。
対 馬を作らせる向かい飛車 での構想
これ、力戦向かい飛車とでもいうのでしょうか?
初手から76歩34歩56歩88角成同飛57角 的なアレです。
本譜は76歩34歩68飛54歩22角成同飛53角 のオープニングでした。
この戦型では、端を取ってから飛を振りなおす趣向を好んでいます。馬付きの囲いが作れたら模様がよいとの判断です。
さて、相手の穴熊は一風変わっているな、と思っていたら、ここで面白い手が飛んできました。
44角(!)66歩26歩同歩同飛
ヒラメのような発想ですね。ヒラメ穴熊とでも名付けましょう。
先手が26同飛と取れないのはマズいのですが、
以下26同角21飛27飛(28飛は51飛成~39金)の展開は悪いと判断。
27歩46飛67銀26歩78金27歩成同飛26歩28飛45飛
いやぁ、参ってますね……。
ここから47銀25飛36銀21飛48飛と指しましたが、まぁ勝てないでしょう。
なぜか中盤で捲ったのですが、終盤に再逆転されて負けてしまいました。
穴熊はマジこれだから自分の弱さが出ましたね。
相手はまだ中学生。ウォーズ8段にこの穴熊を指されて対策がわからないので指してみた、とのこと。
彼もウォーズ高段なので、これからにますます期待したいと思います。
ところで後日談。
どうも納得いかず家でソフトに聞いてみたのですが、
26同飛同角21飛27飛に67馬!29飛成56馬!で僅かに先手良しという判断でした。
香を取って83を狙う展開になりそうです。
馬を56に持っていく発想はなく、この将棋はいい収穫になりました。
棋書のご紹介
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[あわせて読みたい]
>>>【中盤戦の考え方①】つわぶき実戦譜から3局解説
>>>【終盤戦の考え方①】角の使い道