つわぶき恒例の実戦解説、始めていきます。今回は終盤を扱います。
テーマは「角の使い道」ということで、角を絡めた筋を中心に集めています。
角はそれ単体ではそこまで強くないのですが、他の駒と組み合わせて使うことで強力な攻めが可能になります。
このあたりはチェスと似通っていますね。チェスではビショップとナイト(いわゆるマイナーピース)を組み合わせて使うことで、攻めが解きにくくなります。
(みなさんにはチェスにも興味を持ってほしいので、ついつい話題を出してしまいます。笑)
さて、閑話休題。今回もいつもどおり3局ご紹介します。
中盤編へのリンクも最後に貼っておきますので、よければぜひご覧ください。
退路封鎖の角
まずは、先手中飛車から相穴熊となった将棋です。
いま、22の金を33の成銀で取り、後手が△同玉と応じたところです。
▲48金では△28角成から詰まされてしまうので、一見負けに思えてしまいますが、ここで必殺の手順がありました。
▲33金 △同角 ▲21金 △同玉 ▲33桂不成! △22玉
不成で王手をかけ、さらに手番を握ります。
さて、この局面で▲48金とすると、△33玉から逃げ出され、難解になってしまいます。
しかしここでも必殺の手があります。
▲11角! △同玉 ▲48金
上部脱出への希望を打ち砕く角打ち。もちろん先手勝勢です。
先手は攻め駒が少ないようですが、成銀と桂の配置が絶妙です。
まさに「勝ち将棋鬼のごとし」。以下いくばくもなく後手投了となりました。
飛車取りにテンションを上げて飛びつく前に、「当然の一手を指す前に敵玉に味付けや利かしができないか」一呼吸おいて考えてみることも大切です。
余談ですが、一直線穴熊は中飛車が「勝ちやすい~有利まである」と思っています。
結局居飛車の金が上ずって堅さ負けしてしまうことも多いので、相当我慢が必要になってきます。
角打ちのお膳立て
先手中飛車対超速。
48の銀はクリックミスでしたが、ここでは攻めが繋がって振り飛車勝ちになっています。
後手からの△59とや△32銀が入る前に決めてしまいたいところです。
僕は▲54歩と指しました。△59とには▲44金 同角 ▲53歩成 ▲同角 ▲54銀で一手勝ちを目指します。
本譜は△54同歩に▲33金 △同桂 ▲63と △59と ▲75角
これで勝ちになりました。相手の銀桂はただの質駒になっていますね。
「と金」と角に加え、▲54飛の狙いが強力で後手支えきれません。
手番を取る角
居飛車穴熊対後手四間からの一戦です。(便宜上先後逆)
相手の玉も露出していますが、△39銀を食らうと一気に危険な形になります。
ここでは手番を握りながら相手の大駒を消すコンセプトで指していきたいところです。
▲57角! △同角成 ▲同金 △88飛成 ▲48飛!
相手の方は最後の飛車打ちを見落とされたのかもしれません。
こうなると堅さがすっかり逆転し、明らかに振り飛車よし。敵陣への飛車打ちや▲34桂の狙いが防げません。
△48同竜 ▲同銀と進み、以下焦りもあったのか、
△32銀 ▲82飛 △71金? ▲44角で居飛車投了となりました。
終盤力を鍛える一冊
『必殺!! 詰めと必死と寄せ300題』
終盤戦ということで、将棋ガチ勢向けの本になります。
10年前の本ですが相当レベルが高い内容で、僕もときどき開いています。
すべて羽生先生の実戦から引用されており、終盤のエッセンスを養えます。
R2200以上ある方は、問題集としてこれ1冊を何周も解いていけば終盤力は間違いなく上がります。
<あわせて読みたい>
>>>【中盤戦の考え方】つわぶき実戦譜から3局解説
>>>【中盤戦の考え方②】つわぶき実戦譜から3局解説