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【竜王戦】久保利明 王将 vs 増田康宏 六段 第31期竜王戦決勝トーナメント




竜王戦・久保ー増田戦のハイライトです。(将棋DBの棋譜はこちら
本局は石田流模様 vs 銀冠模様の対抗形となりました。

増田6段は藤井7段、佐藤9段を下しての勝ち上がり。竜王のタイトルに向けて流れに乗りたいところです。
(関連記事2つ:【竜王戦】増田ー藤井戦 と 【竜王戦】増田ー佐藤戦

そこに立ちはだかるのは久保王将。振り飛車党のトッププレイヤーです。
(関連記事:【順位戦】稲葉ー久保戦

 

「遅石田」を選択(23手目:75歩)

本局は76歩84歩78飛から始まるオープン三間飛車。近年、振り飛車党の棋士が時々指す形です。
後手から早めの77角成には同銀と取り、後の8筋からの逆棒銀も狙いの一つです。

角交換振り飛車の応用のような形で、派生しているのは同戦法が優秀と認められている証拠だと思われます。

さて、本局は66歩と止めたあとに75歩と伸ばしました。
昔、別の方が「遅石田」と称していたので、僕も真似してみようと思います。

石田流のありがたい点は相手の右桂が使いづらくなること。

最近の将棋は、戦型を問わず桂で攻める傾向が強くなっています
僕も相手の桂を封じる意味で、石田の使用率を上げつつあります。

なお、初心者向けに石田流の超基本を書いているので、よければご覧ください。
[関連記事]【★×2】~軽快な捌き~ 石田流を指してみよう!

 

命名:やねうら王(39手目:56金への応手)

最初に少し石田流の話をしたいのですが、石田流は「77角型」「97角型」の2パターンに大別できると思います。それぞれメリットとデメリットがあります。

個人的には5筋を突かれたら97角型、6筋を突かれたら77角型と決めて指しています。

閑話休題。本譜は77の角を引いて、飛車を76に進出させました。
金が56にいるからこそ指せる一手で、石田流の軽さに加え、手厚さが感じられますね。

本譜はここで54銀かなぁと思っていたら、以下23金!77角25歩と進みました。
横からの攻めに弱くなる一方、玉が24に行けばなかなか寄る気がしません

ここで後手陣に唐突に名前が付けたくなり、「銀冠の小部屋」に倣って「やねうら王」を考えてみました。
10秒で考えた割には、時事ネタも入っていてトンチが利いている気がします。(自画自賛)

よかったらいっしょに流行らせてみませんか?笑

 

軽い捌き(47手目:66飛)

6筋で歩交換が起こったのですが、ここで64銀に対して66飛!
振り飛車党なら全員指したい一手です。

66同角は同角~74歩で技が決まります。
実戦は65銀同飛64歩69飛

今後の展開として、金に引き続いて飛車と角も捌けたら先手理想的ですね。

 




捌きのアーティスト(59手目:85桂)

66角の王手飛車を防ぐため、87にいた馬を76に動かしたところ。
ここで久保王将の一手は85桂! この手で振り飛車の左辺が完全に捌け、はっきり先手優勢になりました。

以下74飛56角54馬75銀同飛同飛となり、角を56に据えつつ飛車を持駒にしました。
後手陣は横からの攻めに弱いため、先手が一番欲しい駒は飛車。

56で玉頭を睨みながら飛車を手持ちにしたことで、後手収拾つかなくなりました。

本譜はこの局面から34角同金23香となり、一気に寄っています。

後手の敗着としては、実戦で78角79飛87角成という応酬がありました。
(ぜひ棋譜をご覧ください。)

ここで、「87」ではなく67角成としていたら、馬が盤上を制圧気味です。
これなら後手有利の展開になっていたと思います。

 

手裏剣が刺さって投了(85手目:63歩)

久保王将は最後も小気味いい手で決めました。それが63歩

軽い手ではありますが、どう取っても非常に形が悪くなります。
ここで増田6段が投了となりました。

以下は次の変化が考えられそうです。

僕だったら63歩に替えて56香で馬を追っていたと思います。
決め方も久保王将らしく、最後の最後まで久保流の将棋を見ることができました。

増田6段と後手陣の「やねうら王」にとっては、非常に残念な敗戦となってしまいました。

 

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