棋聖戦最終局・第5局のハイライトです。(将棋DBの棋譜はこちら)
2-2で迎えた最終局。戦型は、僕が事前予想で次点として上げていた角換わりとなりました。
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豊島先生の「勝ちたい」という気持ちがひしひしと伝わってくる将棋だったと思います。
悲願の初タイトル、心からお祝い申し上げます。
目次
手待ちの方法(38手目:41飛)
第4局と同様、角換わりとなりました。
前回は後手の豊島先生が金を52→62に動かす手待ちを見せましたが、今回は真っすぐ1手で62金。
よくある形に落ち着くかと思いましたが、本譜は41飛。
このタイミングでの41飛は個人的に初めて見ましたが、展開によって玉がどちらの方向に動いてもおかしくない形であり、非常に攻守のバランスが取れていると思います。
意表の角打ち(45手目:47角)
44の地点で歩交換が起こりました。
「45歩~46角か、47歩の二択」と思っていたら、わずか3分の少考で47角。
恐らくは研究手だと思います。豊島8段や検討陣も意表を突かれていたようでした。
この角は、「何かの拍子に56の銀を動かして、薄い74の地点を狙おう」という手です。
ただ、後手からの47飛成~38角や46歩の筋があるので、一筋縄ではいきません。
なお、右玉の相手に18角と打つような形は有名で、いわゆる筋違い角が常に意表の一手というわけではありませんね。
本譜は以下41飛に75歩!と強く攻めかかります。
この局面を「攻めている」と捉えるか「先手忙しい」と捉えるか。棋風に現れると思います。
本局の「分岐点」(56手目:65歩への応手)
56の銀を55に動かして駒をぶつけた先手。
対して後手は、64の歩を伸ばし、一番固い65の地点で受け止めます。
ここで44銀と取ったのがあまりよくなかったと思います。
54の銀を取ったほうが玉頭に空間ができますし、後手も強い戦いができなくなります。
2~4筋が弱体化したのは確かですが、本譜は3筋の攻めを都合のいいタイミングで手抜かれて反撃を浴びる格好となってしまいました。
待望の反撃(69手目:33同歩成への応手)
ここではすでに豊島8段が相当いい印象です。
玉が広いですし、相手の持駒も少ない。
45の桂が質駒になっているのも大きな要素です。
ここで後手は、8筋のくさびを活かし88銀と強く打ち込み。
結論から言うと、この後は先手陣の左辺でのみ攻防が行われ、豊島8段が一方的に攻め倒す展開になりました。
決め手、豊島棋聖の誕生(95手目:79桂への応手)
防戦一方になる羽生棋聖。
ここで79桂と打ち、「87」と「67」の両方に利かせましたが、66歩!の取り込みが絶好でした。
以下68歩に87歩!と、まさしく一歩千金です。
同銀同銀成同桂78金と進み、一瞬で寄ってしまいました。
<投了図>
投了図以下、同桂に77角から鮮やかでぴったりな詰め上がりとなります。
群雄割拠の時代に
豊島先生、
ヒューリック杯棋聖第一号おめでとうございます。
棋聖戦の関係者の皆様、長年に渡り
大変お世話になりました。
羽生の熱烈大応援団の皆様、いつも夫と共に戦い、苦楽を共にして下さり本当に有難うございます。感謝してます!
今後も戦いは続きますが、何卒よろしくお願い申し上げます泣 pic.twitter.com/Z2myJ7kTEC — 羽生理恵
運命は勇者に微笑む (@usaginoheso) 2018年7月17日
調べたところ、各タイトルが全員別の棋士が持つことになったのは、昭和62年以来のことです。
(名人・中原誠、十段(現在の竜王)・福崎文吾、棋聖・桐山清澄(豊島将之の師匠)、王座・塚田泰明、王位・谷川浩司、棋王・高橋道雄、王将・中村修)。
将棋ソフトの発展によって、将棋界のレベルはプロ・アマ問わず上がっていると思います。
僕としては「誰がタイトルを獲得してもおかしくない時代が来る」と予想しているので、若手を中心として、今後の将棋界にも注目していきたいですね。
豊島棋聖誕生により、8人でタイトルを1つずつ分け合う状態に。これは、七大タイトルの在位者が7人だった1987年以来31年ぶりとなります。
竜王:羽生善治
名人:佐藤天彦
叡王:高見泰地
王位:菅井竜也
王座:中村太地
棋王:渡辺明
王将:久保利明
棋聖:豊島将之https://t.co/E0JWdJBjss pic.twitter.com/2j0mOC239u— 日本将棋連盟【公式】 (@shogi_jsa) 2018年7月17日
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