ということで、C級1組順位戦のハイライトです。(将棋DBの棋譜はこちら)
16歳になったばかりの藤井7段がどのような将棋を見せるか。
相手はA級経験のあるベテラン棋士、森下9段。注目の一戦です。
(まぁ、いつも注目していますが……)
終わってみれば、終盤まで互角を保っていたかと思えば、一瞬で差がついてしまった一局でした。
一分将棋の最中、自然な手が多かっただけに、敗着がわかりづらかった対局です。
目次
飛車の引き場所(23手目:25飛)
矢倉模様となった本局。森下9段は矢倉のスペシャリストです。
(弟子に「矢倉は終わった」という言葉で有名な増田先生がいるのが皮肉ではありますが……)
飛車を25に引いた森下9段。中段飛車により、藤井7段が得意な右辺からの桂馬での攻めを緩和する狙いです。
33桂には、飛車をかわしておけば跳ねたばかりの桂が負担になります。
「なるほど」という飛車の引き場所でした。
後手からの開戦(39手目:47銀への応手)
図では、中段飛車がよく利いています。放っておけば37桂から右辺の攻め足が速くなりそうです。
先手が66に銀を繰り出す形は、増田ー藤井戦や斎藤ー藤井戦でも考察しています。
これからもサンプルが増えていきそうな、注目の戦型です。
さて本譜に戻り、ここで藤井7段が動きました。
75歩同歩33桂28飛54歩と進みます。
33桂で一瞬角が狭くなりますが、54歩で角の懐を広げるのが柔らかい一手になります。
53角から端攻めも狙えそうな展開も期待できますね。
卓越した大局観(73手目:88同金への応手)
本譜は6~9筋で競り合いが続きます。プロ棋士の解説や形勢判断も二転三転。
図は88歩の手裏剣に同金と応じたところですが、ここで藤井7段の大局観が光りました。
63金!86角75歩!と進みます。
雑誌「将棋世界」の対談で、「ある局面ではテーマを設定し、それに沿って手を探す」と話していた藤井7段。
ここでは相手の角を無力化させることに意識を置いていたのは明らかです。
62角成を消し、角のぶつけにも応じなければ、自分の角だけ絶好の「64」のマスに配置することができます。
話がそれますが、盤上の駒を効率よく配置し、逆に相手の駒の働きを弱めることは、チェスで重宝されるテクニックです。
藤井7段がチェスをやれば、ほぼ間違いなく日本最強クラスのプレイヤーになると確信しました。
以下、2筋からの先手の攻めもかわし、一瞬で後手優勢から勝勢を築きます。
手厚く勝つ(103手目:59同玉への応手)
両者1分将棋の最中、103手目に59の成香を取って首を差し出したところです。
78に逃げることもできましたが、58桂成で一手一手の寄り。
88歩の手裏剣が絶大な働きをしています。
本譜はここで45桂と指され、森下9段の投了となりました。
しかし、ここで即詰みもあり、もしかしたら画竜点睛を欠いたと言ってもいいのかもしれません。
もっとも、プロ棋士は結果を出すことが第一ですから、「詰むと思って追ったら詰まず、逆に負けてしまった」という展開よりはるかにいいことは言うまでもありません。
ぜひ終盤力向上のために、即詰みを考えてみてください。
「充実した1年に」
19日に16歳の誕生日を迎え最初の対局だった。ただ、対局に備え研究に取り組んだそうで、新たな節目を迎えての今後1年を展望し「いいスタートが切れたので充実した1年にしたい」
藤井聡太七段 名人戦順位戦で連勝 森下卓九段と1分将棋の熱戦― スポニチ Sponichi Annex 芸能 https://t.co/LzME18Eawg
— K (@k_star_kk) 2018年7月20日
謙虚な発言で注目を浴びる藤井7段。
好スタートを切り、変わらず前向きな発言をされているので、この1年もますますファンを魅了してくれることでしょうね!
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