王位戦(豊島ー菅井)第3局2日目の考察です。棋譜(中継サイト)
(関連記事:第3局1日目 第1局 第2局)
最終盤まで見応えある攻防が続いた一局だと思います。
100手が目前だけど、これはまだ難解かな?相当拮抗してるなあ#王位戦
— つわぶき@将棋ブログ (@tsuwa_chesshogi) 2018年8月2日
目次
封じ手は自然な一手(50手目:76歩)
豊島8段は封じ手に76歩を選びました。前回の記事でも予想した、極めて自然な手です。
対して菅井王位は68角。88角だと、86銀からの棒銀が受けにくく劣勢となってしまいます。
68を経由して、57や46に角を転換するのが振り飛車らしい手といえるでしょう。
軽い手で先手が局面をリード(55手目:53歩)
この局面、僕は63銀~54銀成を予想していましたが、軽く53歩!は「なるほど」という一手。
何もしなければ、次に63銀や52歩成の攻めを見せています。
53歩に対して99角成と攻め合う手もありましたが、本譜はしばらく相手をする53同金を選択。
しかし、これを取るようでは先手が少し良くなったと言えそうです。
以下、73歩同桂75角99角成と進み、先手の駒得となりました。
振り飛車党 必修の桂跳ね(69手目:77桂)
部分的には75角・76飛車は飛車が捌きにくい形で、振り飛車としてはこの形は作りたくないところです。
一般的には、飛車と飛車が向かい合っているとき、間にある駒は負担になりやすいのですね。
先手は77桂!と取られそうな桂を捌きに行きますが、これが好手。
同桂と応じては66角!で一発終了なので、77桂に75飛と応じるしかありません。
以下、75同飛77桂成72飛成と進み、先手の飛車が出世しました。
しかし駒の損得はあまりなく、先手の穴熊もそこまで堅いとは言えないため、形勢は依然互角の範疇です。
後手の勝負手(92手目:15歩)
先手の攻めがひと段落したところで、後手も反撃に出ます。
15歩はここから行くしかないところ。
穴熊戦のコツは、なんと言っても王手がかかりやすい形に持ち込むこと。
穴熊戦では劣勢側が戦線拡大のために端に手を付けることが多く、このタイミングでの15歩は実戦でも突けるようにしておきたいところです。
大勢決す(147手目:66角)
後手からの攻めも迫力があったのですが、うまく受け流し切った局面。
手順に打った15金が光っています。
147手目に66角と味よく使えては、先手の勝ちは動かないでしょう。
- 遊び駒を活用
- 後手玉の移動範囲を制限
- 手駒の少ない後手に合駒請求
様々な意味を持った王手で、痛快な活用といえます。
以下、55銀24香から危なげなく勝ちに持ち込みました。
<投了図>
投了図以下、(1)56同玉は57金~(2)44玉は45香~詰んでしまいます。
本局は菅井王位の突っ張った序中盤戦に違和感があったのですが、中盤以降に菅井流の絶品の捌きで勝利した印象です。
豊島棋聖としても目立った悪手はなく、自然に応じていたはずなので、残念な敗戦というところでしょう。
菅井王位はここまで振り飛車を採用。第4局はノーマル三間飛車での持久戦を予想したいと思います。
第3局まで全て先手が勝利しているので、後手番でシーソーゲームを抜けることがお互いにとってカギとなりそうです。
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