観る将から指す将まで

【藤井聡太】【徹底解説】 藤井聡太七段を多角的に考察する(1)

2018/08/01
 

5月に藤井聡太プロが7段昇段し、つい先日も中村亮介7段を相手に昇段後の初勝利を挙げましたね。
並みいるトッププロたちをなぎ倒し、飛ぶ鳥を落とす勢いで快進撃を続けるさまが、当たり前のようになってしまいました。
今日は、最も旬な棋士である藤井7段の棋風・棋歴(プロ入りまで)を振り返っていきたいと思います。




藤井聡太7段

(写真出典:日本将棋連盟

生年月日:2002年7月19日
出身地 :愛知県瀬戸市
棋士番号:307

 

棋風

 

切れ味のある終盤力を支える中盤力

「序盤・中盤・終盤、スキがないと思うよ」
佐藤(紳)7段が豊島8段を評したフレーズですが、藤井7段にも同じことが言えます。
詰将棋の能力が取りざたされますが、総合的に弱点が見当たりません

序盤に繰り出される軽快な攻め
対応力があって腰の重い中盤力
接戦を見切る終盤力

しかし、僕が注目するのはその中盤力です。
中盤で優勢を気づき、終盤でそのまま踏み込んで一手勝ちを目指すのが勝ちパターンだと感じています。
(※藤井7段の将棋は「将棋DB2」で検索できます。どうぞご覧ください。)

なお、チェスにもこんな格言があります。
Play the opening like a book, the middle game like a magician, and the endgame like a machine”
Rudolf Spielmann (1883-1942)

序盤は本のように、中盤は魔術師のように、終盤は機械のように」。
まさしく藤井7段に当てはまると思います。

 

藤井将棋の特徴は角・桂の使い方

7段昇段戦では、後手番ながら中盤で大差で優勢となり、対局相手の船江6段に指す手がなくなってしまいました。
早めに筋違い角を打ったのが印象的な将棋でしたね。

また、日頃から桂馬の使い方についても話題になっています。
角換わりの、いわゆる「桂ポン」を指しこなしているのはもちろんですが、一番有名なのは「44桂」を打った広瀬8段との将棋でしょう。
中村王座がうなりながら解説していたのが印象に残っています。

角と桂馬の共通点は、扱いづらさはあるが、攻めがつながるとなかなか振り払うことができないこと
斜めのベクトルから強力な攻めが来ると、飛車や金銀などの駒ではなかなか対応できないのです。




棋歴

 

幼少期~奨励会入会まで

2007年夏、5歳で将棋のルールを祖父母から教わります。
プロ棋士の方々は小学校入学前後で覚える方が多いイメージです。(豊島先生は3歳で始めたそうです。)
5歳の藤井少年は読み書きがあまりできなかった藤井少年。
将棋の符号を頼りに所司先生の『駒落ち定跡』を読破しました。

読破後はふみもと将棋教室に通います。
受講する子どもの数も減り、まさに教室をたたもうとしていた席主の文本さん。
一目で藤井少年のポテンシャルを見抜き、「この子を育てたい」と、教室を継続することにしました。
ここで教室に入っていなかったら。文本さんが教室を畳んでしまっていたら。
今の藤井7段はいなかったかもしれません。

その後、将棋大会に参加するようになり、地元で頭角を現します。
藤井少年があまりにも強く、彼を敬遠して別の地区の大会に出る子どももいました
藤井先生の2歳上である私の知人などは、
「奨励会に入りたかったが、年下の藤井君に勝てないのであればプロにはなれないと思った」
と、奨励会試験を断念した方がいます。
いまや、彼も平気で県代表を取っている実力者でもあるのですが……。
幼少期から、藤井少年は周囲に影響を与えてきたようです。

その後、2010年に東海研修会入会。
2011年には全国小学生倉敷王将戦 低学年の部で優勝。
2012年には研修会B1に昇級、もって奨励会に6級で入会を果たします。(小学4年:10歳)

師匠の杉本昌隆7段も、「この子をプロにしなければ、師匠失格」と思っていたようで、
そのときの内容も本で回想しています。

[あわせて読みたい記事]
>>>【新刊】 『師弟』(6/20)に 藤井聡太など全6組の師弟が登場!

奨励会~プロ入りまで

奨励会の昇段年月日とその際の年齢を図にしました。

級位・段位 昇級・昇段年月日 年齢
6級
5級 2012年9月22日 10歳2か月
4級 2012年11月10日 10歳3か月
3級 2013年6月3日 10歳10か月
2級 2013年9月15日 11歳1か月
1級 2014年3月17日 11歳7か月
初段 2014年6月21日 11歳11か月
2段 2015年2月28日 12歳6か月
3段 2015年10月18日 13歳2か月
4段 2016年10月1日 14歳2か月

一つの区切りである「入品(初段昇段の意)」が11歳11か月で、驚くべきスピードです。
個人的には15歳までに入品、18歳までに3段昇段を果たせば、4段昇段(=プロ入り)はかなり有望だと思います。

藤井少年は入品後もじわじわと勝ち星を重ね、いよいよ3段昇段、3段リーグに編入します。
ここから昇段し、プロになれるのは、原則として半年に2人。
3段リーグには常時30人前後が所属しており、昇段できるのはほんの一握りの厳しい世界です。

3段リーグ1期抜け、最年少プロへ

元奨の知人が言うには、4段昇段の1年前から、終盤を中心に突然強くなったとのこと。
「鬼の住処」「地獄」ともいわれる3段リーグもたった1期で抜けてしまいます。
〇第59回奨励会3段リーグ戦

別の元奨の知人は、次のように言っています。
「『意地でも藤井を1期で上がらせるわけにはいかない。3段リーグの厳しさを教えてやる』という空気が周りに漂っていたことは間違いないし、それを本人は感じていただろう。
その中で本当に抜けてしまうのは信じられない」

かくして、将棋界に若きニュースターが誕生したのでした。
そのあとも目覚ましい活躍をしているのは、皆さんご承知のとおりです。

プロ入り後の活躍は次回の記事に続きます。
【藤井聡太】【徹底解説】 藤井聡太七段を多角的に考察する(2)


















Comment

  1. suzuryu より:

    「序盤・中盤・終盤、スキがない」は豊島八段への評ですね。
    もちろん羽生竜王にも藤井七段にも当てはまるとは思います。

    • つわぶき つわぶき より:

      コメントありがとうございます。

      橋本先生のオマージュと混同してしまい、申し訳ありません。
      修正させていただきました。ご指摘ありがとうございました。

      引き続き、正確な記事を書くよう努めたいと思いますので、今後も当サイトを宜しくお願いします。

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