観る将から指す将まで

里見 女流四冠 vs 伊藤 女流二段 第45期女流名人戦五番勝負 第2局

 




こんにちは、つわぶきです。先日の女流名人戦が面白かったので、解説します。
以前は初段以上の人を意識して正確さを心がけていたのですが、今後は初段までの人も楽しめるよう、指し手のニュアンスや考え方も説明していきたいと思います。

さて、女流名人戦(里見ー伊藤戦)の考察です。棋譜

里見女流が、まだまだ女流棋士の中で一番強いのは疑いがないでしょうね。

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序盤の趣向(13手目:26歩)

本局は典型的な中飛車 対 三間飛車の出だしから、里見女流が趣向を見せました。
それが図の26歩!です。居飛車に再度振り戻し、早々と繰り出した左銀をそのまま攻めに使う構想。

以下、44歩 79角 42銀(45歩(同銀 44歩狙い。それでも33歩から難しいが。)には35銀から単純な2筋攻め) 25歩。

ここで伊藤女流は34歩と謝りましたが、これははっきり損。
28飛と振り直して、先手の手得と持ち歩だけが残ってしまいました。

今回の会場は、里見女流の故郷・島根。島根は鳥刺し流行発祥の県なので、地元の人は大いに喜んだのではないでしょうか。(北陸で「かまいたち戦法」が流行っているようなものですね。笑)

僕も対抗形は嫌いではないので、今後取り入れていきたい序盤戦術のひとつです。



銀は中央へ(31手目:55銀)

後手は左銀で2~3筋を強化したので、里見女流はしれっと55に銀を上がりました。

ここは我慢してでも43銀と引くべきだと思ったのですが、伊藤女流は54歩 44銀 64角と動きます。
しかし46角と合わせられると、後手にメリットが何もなく、一気に敗勢となってしまいました。

ただ、駒がぶつかってからが将棋の面白いところで、伊藤女流も何とか攻めの糸口をつかもうと暴れます。




里見女流、間違える(64手目:64香への応手)

64香と打った手に対し、里見女流は52歩成 同飛 53銀成と踏み込みます。
しかし、同飛 同銀成 66香と取った形は、すでに勝負形になってしまっています。

64香の瞬間、腰を落として考えたいところ。確かに香が嫌なところに配置されましたが、後手の持駒は歩しかありません。
例えば、僕なら55角から考え、その後の52歩成~53歩~52銀からわかりやすく行くよう心がけます。

29馬から桂を持たれ、攻める過程で銀を取られても、特段何もないかな、という局面だと思います。
もしかしたら水面下で鋭い応酬があるのかもしれませんが、スピードをしっかり読み切るのが終盤で勝つポイントです。




渡してもいい駒、いけない駒(83手目:53金への応手)

先手が持駒の金を53に放り込んだ局面。
ここでは何が起こってもおかしくないでしょう……というか、秒勝負なら僕は後手持ちです。
先手は、例えば飛車を持たれて66に桂を打たれると、もう生きた心地がしません。

本譜は62銀?と節約して受けたため、52飛成 同銀 同金で、一気に陣形が崩れてしまいました。

ここは62銀打!でどうでしょう。
以下、52飛成 同銀 同金のときに、銀が盤上にもう一枚あるのがポイント。

ここで47歩とすると、以下の局面になります。

お互い、横駒に弱い形をしていますが、先手から横駒を取ることができないのに対し、後手は飛車を捕獲しています。成香も好位置にいますし、「劣化elmo囲い」のような後手陣も、斜め駒だけの攻めに対しては、意外と耐久力があります。

持駒を使うことにより、盤上の安定感が増しますし、負けているときは局面を複雑化させることができます。
適切なときにうまく持駒を使うことも、上達ポイントのひとつですね。

本譜では、伊藤女流も粘ったのですが、手が続いてしまう紙装甲の囲いでは何もできず、幾ばくもなく投了となってしまいました。

序盤の工夫や中・終盤からも学ぶところが多い将棋でしたので、ぜひ紹介させていただきました。
女流のお二人には名人戦を頑張ってほしいところです。

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