【藤井聡太】「一閃」の56桂 藤井聡太 七段 vs 増田康宏 六段 第1回 AbemaTVトーナメント 感想
仲間に恵まれ、高校時代に全国大会団体戦で優勝経験があります。
将棋の普及にも興味があり、子ども将棋教室を何度も開催。
駒の動かし方から教えるほか、指導対局を実施。延べ250人以上を指導しています。
また、これまで海外20か国以上を訪問。滞在先で将棋の普及やチェスの対局を楽しんでいます。
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藤井ー増田戦(Abemaトーナメント第1局目)の感想です。(棋譜はこちら)
羽生先生が提唱したトーナメントということで、こちらで以前ご紹介させていただいていました。
先日の竜王戦で敗れている藤井7段としては、ここでリベンジしたい形です。
(関連記事:増田ー藤井【竜王戦】)
(追記:時系列的にはこちらが先の対局だったようです。)
本局は予想外にも相掛かりとなりました。
僕は相掛かりを全く指さないので、いつもに比べて具体性には欠けると思いますが、ご容赦を。
(この記事のタイトルも「考察」ではなく「感想」です。細かいですが・・・)
相掛かりは定跡があまり整備されておらず、序盤の構想に棋風が出る戦型です。
序盤は方針をお互いに提示して、中終盤での力戦で勝敗を決する将棋になります。
縦横からの攻めが複雑に絡み合った将棋になるので、なかなか振り飛車と両立して指す方は見受けられません。
後ほど第2局目の記事も書きたいので、今回は駆け足でいきたいと思います。
飛車 vs 角(39手目:17角)
先手が17角と打った局面。19角成には53角成~32飛成があり、一瞬で寄ってしまいます。
ここで後手の33歩がうまい切り返し。以下28角34歩と進み、飛車vs角の戦いとなります。
しかし、先手の角のラインをサポートする駒がなく、後手よしでしょう。
攻めやすい7筋は自玉も近く、反動を抑えるのに相当苦労する形です。
52手目:64銀の局面。
駒の損得はほぼないながらも、先手の攻めは単調になってしまいました。
生角は使い方が難しいですね。
カベ形を捌く(66手目:33桂)
後手が33桂と跳ねた局面。
ここで後手勝勢に近い優勢に変わったと思います。
- 先手は攻め筋に乏しいが、後手からは65桂などの速い攻めがある
- 33桂同型成同金となることで、玉の広さが格段に広がった。
- 先手陣は粘れる形をしていない
フィッシャー・タイム制の難しさが形勢に表れてしまった印象です。
一閃(78手目:56桂)
増田6段は先ほどの図から45桂~55馬と指すのですが、これしかないのが辛いところ。
恐らくほかの手段はないでしょう。
ここで56桂!!が目の覚める一手。思わず声が出ました。
取ると57で清算して79角の筋があり、一瞬で寄ってしまいます。
増田6段はそれを悟り、この将棋を一つの芸術に昇華させます。
56桂以下、同馬79角同玉78飛まで。
なんと美しい投了図なのでしょう。(感嘆文)
取れば清算して77銀以下、69玉は68銀~57銀成~68飛成。
早指しとは思えないほど美学が詰め込まれた中終盤だったと思います。
今まで藤井7段の相掛かりは今まで見たことがなかったのですが、力が出しやすい将棋なのかもしれませんね。
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