観る将から指す将まで

深浦康市 九段 vs 羽生善治 竜王 第77期順位戦A級2回戦

 




昨日の順位戦(深浦ー羽生戦)の感想です。棋譜

最後まで勝負の行方が分からない激闘で、面白かったですね。

 

先日の丸山ー久保戦(JT杯)から初段前後の方に向けた解説を心がけていますので、ご了承よろしくお願いします。

 

相掛かりの流行形へ(10手目:52玉)

本局は相掛かりの流行形(68玉型 対 52玉型)となりました。
相掛かりは序盤から手将棋になりやすいので、居飛車後手としては有力な戦法だと思います。

 

増田ー藤井戦(abema)でも述べましたが、僕は相掛かりの知識が比較的乏しいので、知っている範囲で解説したいと思います。

 

玉の位置について簡単に説明すると、先手の68玉型のメリットは、58玉型よりも2~4筋の反動が少ないこと。デメリットは7筋からの攻めに弱いことです。

バランスを取る将棋というよりも、将来の攻めに期待した玉の位置と言えます。横歩取り勇気流と似たような発想ですね。

 

後手の52玉形は、もちろんバランス重視。玉を含めた全体の駒を使い、少ない手数でバランスを取って、軽い形を築いています。デメリットは玉頭の5筋が薄いことになります。

 

桂馬が負担に(22手目:74歩)

角交換後に、後手は74歩。ここで74歩に代え、2筋を受けるために33銀と指したいのですが、24歩~25歩や66角で先攻される筋が気になります。45桂の際に33の銀に当たる変化も読まなくてはなりません。

かえって相手の攻めを早める危険性があるわけですね。

 

2筋の歩交換を許しても、すぐすぐ悪くなるわけではありません。
がっちり受けるとお手伝いになる可能性があるので、とにかく「軽く」指し回したいところです。

 

そういった意味では、桂馬を73に跳ねる余地を作った本譜74歩は理に叶った手と言えるでしょう。

この「軽さ」を念頭に置いて、この記事を読むことをおススメします!




後手が先攻(28手目:35歩)

先手は66に角を打ちますが、75歩同角54飛が「手筋」ともいえる手順。54の飛は非常に安定した好位置で、この形で頻出です。

 

本譜は35歩と桂頭を攻め、26飛73桂と進みます。

 

「攻めは飛角銀桂」という格言がありますが、後手の攻めは僅かに「飛桂歩」。何度も言いますが、軽く融通性のある形ですね。

 

受けの呼吸(47手目:87銀)

 

後手は馬を作るのですが、深浦9段は47手目に87銀!と懐を広げました。

 

この類の手の意味としては「あなたから急ぐ手はないでしょう。じゃあ私も攻め急ぐ必要はないから、自陣に手を入れますね」ということです。

この手で79~88の玉の逃走ルートが確保されたので、反動を恐れずによりアグレッシブな攻めをすることができました。

 

私見ですが、アマ初段なら基本的かつ直線的な攻守が理解でき、2~3段ならその読みがさらに洗練されるイメージ。4段以上は、曲線的とも言える「間合いを図る実戦手」を意識する必要があるでしょう。

ただ、この類の様子を見るような手は、下手をするとただの緩手・一手パスになりかねません。なかなかレベルの高い呼吸法だと思います。



玉の追い込み方(112手目:34歩)

やや飛んで、この後先手が攻め続ける展開になりますが、羽生竜王の柔軟な対応に攻めを間違えたこともあり、二転三転。図は34歩と打ったところですが、ここで54金! と柔らかく受けます。

 

まだ先手が有利だったようですが、持駒がなく、既に深夜。
お互いに1分将棋の展開で、先手は正着手を見つけることができませんでした。

 

なお、abemaで戸辺先生が解説していたのですが、34歩に代えて33歩!!なら先手勝勢だったように思います。

 

ここで54金と指しても、32歩成~33桂成となり、解くことはできないでしょう。
しかしながら、これは深夜の1分将棋。指運が勝敗を分けたとしか言えないと思います。

 

美しい終局図(127手目:58同金への応手)

いよいよ局面はクライマックス。

58と同金と指したところですが、なんと58同竜!から詰みがあります。以下同玉に36角と指せば、いい合駒がなく、ぴったり追い詰めになってしまいます。

 

これが投了図。94の飛車や36の角が使えるので、詰んでしまいます。
58同竜以下の詰みは変化が多いので、ぜひ盤に並べて考えてみることをおすすめします

 

64の香まで働いて詰む筋もあり、まさしく盤上全体に激戦の様子が窺える終局図と言えるでしょう。



これで羽生竜王は順位戦1-1、深浦9段は0-2となりました。

両者とも調子が悪いわけではないと思うので、今後も順位戦は激戦が繰り広げられることと思います。

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