観る将から指す将まで

井出 隼平 四段 対 里見 香奈 女流四冠 第4期叡王戦段位別予選四段戦

 




叡王戦(里見ー井出戦)の考察です。棋譜

 

前人未到の対男性棋士4連勝がかかった里見女流、注目の一戦です。

近年はプロ・アマ問わず女性棋士が本当に強くなり、性差がそこまでない印象を受けています。
関連記事これからは女性棋士がさらに活躍する時代になってくる
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前予想は当然相振り飛車。里見女流の強気の攻めに対し、井出4段が攻守に堅実に指し回すものと事前予想を立てていました。

 

序盤の構想(7手目:57銀)

 

本局は中飛車 対 三間飛車の出だしから、お互いに向かい飛車に振りなおす戦型になりました

 

図は、先手の里見女流が7手目に57銀と指したところです。

狙いとしては、左銀を中央で活用することを急ぎ、その後に76歩と突く構想です。

かつては杉本先生の相振り本に、57銀型を作ってから穴熊を組む発想が掲載されていたのですが、三間飛車に軽く・早く動かれると苦しいと思っています。

 

僕も相振りを指す際は、本局の里見女流のように振り直す構想が有力だと思っており、中でも相中飛車ではこの手順一択で採用しています。

個人的に勝率は悪くありません。
相振り飛車に困っている先手中飛車党は、ぜひこの構想をお試しあれ!

 

最近は、後手超速や角道不突きにも再び自信が持ててきたので、初手56歩の割合を上げているところです!
関連記事:研究がプロ棋戦に! 後手超速2枚銀への対策(叡王戦 木下ー宮田戦から)

 

お互いの狙い(29手目:77桂)

 

29手目に先手が桂を跳ね、お互いに大分駒組が発展してきました。

 

先手としては8筋の歩が切れるのですが、それ以上のすぐの攻めはないところ。

5筋からの盛り上がりで厚みを築きたいところです。

 

一方で後手はすでに低い駒組が完成。2~4筋からうまく攻めを繋ぎたいところです。

 

個人的には、66の角が強く先手持ち。この角が安定しているうえに飛車のコビンを睨んでいるため、後手の攻めをかなり牽制できています。



先手の模様がよくなる(51手目:58金)

 

後手は角を24に上がり、24-79のラインを狙いますが、そのラインを全て受けきる58金が当然ながら好手。

相振り飛車でもバランスを取る感覚は活きてくるのですね。

 

さてこの局面、後手は攻めを急ぐ必要がありそうです。

もたもたしていると、66の角をどかし、6筋から先手が先攻する筋が受けにくくなっています。

 

その後、後手は端から手を作り、下図のように進みますが、息切れが否めない印象。

 

 

ところが、盤上のドラマはここから始まります。




先手、受けを誤る(98手目:46歩への応手)

46歩と後手が手裏剣を飛ばしたところ。

 

本譜はここで疑問手を連発してしまいます。

以下、46同金直? 48銀 56馬? 59龍! 26歩? 15桂

 

後手の攻めは細く見えますが、歩を持っているため、ぴったり寄ってしまいました。

 

以下は程なくして投了。

 

図以下は簡単な詰みがあります。

 

ここで入玉できていたら、先手が勝ちきるのはそれほど難しくないと思っていただけに、里見女流にとっては悔しい敗戦だったでしょう。

 

しかし、当然ながらプロの世界は結果がすべて。

今後もファンを楽しませるだけでなく、男性棋士に対しても結果を出せるよう健闘していただきたいと思います。

まずは8/24の藤井7段との棋聖戦ですね!
関連記事(小話あり)里見香奈女流が棋聖戦で初戦突破、2回戦で藤井聡太7段と対局決定!

 

井出先生の四間飛車本。対穴熊を中心に、序盤の指し方を詳細につづられています。

門倉先生の振り飛車全般本。読んでいて非常に興味深いです。
全般的に居飛車に押され気味な振り飛車ですが、それに対する現代的な指し方が勉強できます。

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