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【藤井聡太】増田康宏 六段 vs 藤井聡太 七段 第31期竜王戦決勝トーナメント

2018/07/11
 
この記事を書いている人 - WRITER -
つわぶき
バランス重視の振り飛車党。最高R2511。
仲間に恵まれ、高校時代に全国大会団体戦で優勝経験があります。

将棋の普及にも興味があり、子ども将棋教室を何度も開催。
駒の動かし方から教えるほか、指導対局を実施。延べ250人以上を指導しています。

また、これまで海外20か国以上を訪問。滞在先で将棋の普及やチェスの対局を楽しんでいます。

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竜王戦トーナメントのハイライトです。(将棋DBの棋譜はこちら
本局も見事な一戦でした。そろそろ振り飛車の対局も解説したいところですが…こればっかりはしょうがないですね。笑

手堅い歩(46手目:22歩)

予想外にも、77にも33にも銀がいる矢倉調の形から始まりました。
増田6段は銀をフレキシブルに動かしながら大駒を通しますが、藤井7段の22歩が手堅い一手です。

銀も死なないし、将来33に桂を跳ねれば玉もグッと広くなる形です。
一目は後手持ち。

勝負手:中盤でも駒の損得よりスピード(69手目:95角)

増田6段は桂頭に嫌味をつけながらなんとか手を作ろうとしますが、藤井7段はうまく対応します。
ただ、時間を使いすぎている印象は否めませんでした。後にこれが尾を引きます。

69手目に95角のただ捨て(!)が飛び出します。ニコ生の字幕にも「ただやん」の訓練されたコメントが飛び出します。竜の利きを逸らして相手の攻めのスピードを遅らせようとする手です。
同竜は当然の一手で悪くはないのですが、53桂成同角(※)から再度の45桂の「おかわり」が迫力あり。

(※)なお、53桂成に同金のほうがよかったようです。77桂~69角の攻めもあるし、53の金が取られた後も同角~75角と使う筋があります。



時間に追われた一手(74手目:75角)

ここで75角が敗着となりました。53歩から攻めを解くことができません。
替えて攻めるなら86桂や77桂。守るなら42金左としておけば、後手十分の長い将棋でした。

もうひとつの寄せ(93手目:95角成)

92手目に64玉の局面。僕の第一感は53銀を入れて包み込むように寄せて勝ち、でした。
以下一例は、63玉95角成53玉62馬64玉63飛55玉57銀。
この後先手玉への王手は続きますが、右辺が広いので問題ありません。

本譜も飛車を取って安全なのですが、後手玉が空中遊泳する可能性がありました。
怪しいムードはあったのですが、増田先生は時間を余しており、きっちり寄せて勝ちに持ち込まれました。

これで対戦成績を1-2に戻した増田先生。
世間的には先生への「向かい風」はあったと思いますが、同じ相手に3連敗というわけにはいかなかったでしょう。

しっかり勝ち切ったのはお見事でした。

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